北広島市中央の動物病院、きたひろ動物病院です。
家族の一員である我が子と接する中で
「最近眼が白くなってきた気がする。歳もとってきたし、これって白内障?」
と思うことは少なくないのではないでしょうか。
「眼が白い」と言っても、眼のどの部位が白く見えるのか、を特定することが重要です。
眼球は外側から、角膜、前房、水晶体、硝子体、網膜という構造があり、どの部位が白くなっているのか、また、なぜ白くなっているのかという原因によって必要な治療が異なります。
眼が白くなる疾患の一例
◯角膜
・角膜潰瘍
眼の表面の角膜に傷ができることにより、角膜が白くみえます。痛みを伴い、傷の程度により眼球穿孔を起こすことによる失明や眼球摘出などの手術が必要となります。
・角膜炎
様々な原因により眼の表面に炎症が起こり、慢性化すると角膜表面に血管新生がみられ、その影響で角膜が白く見えます。
・緑内障
高眼圧により角膜に浮腫が生じます(白くなる)。痛みを伴い、進行すると失明に至ります。
◯前房
・ぶどう膜炎
眼の中(ぶどう膜)で炎症が起こることで前房が濁り白く見えます。炎症は眼の中だけで起こる場合と、全身の炎症が眼に波及する場合があり、全身的な精査が必要となります。
ぶどう膜炎の程度により、眼内にフィブリン(繊維素)、血餅、膿が確認されます(眼内にみられる物質によって眼が赤く見えたり、黄色にみえたりします)。一般的に疼痛を伴います。
◯水晶体
・白内障
水晶体のタンパク質が変性することにより水晶体が白く見えます。一度変性した水晶体は内科的治療でもとに戻ることはなく、進行すると失明に至ります。
白内障は進行度によって4分類され、初期の場合は進行予防が可能です。
進行している場合は進行予防の治療は適応されず、根本的な治療は外科治療となります。手術を選択しない場合でも、白内障は半数以上の確率でぶどう膜炎を起こすため、抗炎症治療が必要となります。
初発白内障:初期に見られる小さく、限局的な混濁
未熟白内障:混濁が広がっているが、視覚が確保されていると判断される状態
成熟白内障:混濁が水晶体全体に広がり、視覚を失った状態
過熟白内障:水晶体の皮質が液化し、水晶体体積が減少した状態。多くの場合前部ぶどう膜炎を併発する。
・核硬化症
加齢とともに水晶体中心の核が硬化することで、眼が青白くみえます。白内障と勘違いされることが多いですが、視覚は障害されません。
私達は、動物たちと言葉を交わすことができないため、アイコンタクトも重要なコミュニケーションとなります。早期にケアしていくことで、より良い関係性を保ちましょう。